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注意すべき事象とその対策

重篤な感染症帯状疱疹
血液障害肝機能障害
間質性肺炎消化管穿孔
悪性腫瘍脂質代謝異常
心血管系事象CPK増加
静脈血栓塞栓症

重篤な感染症

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤投与後は患者の状態を十分に観察し、感染症を発現した場合は速やかに適切な処置を行ってください。処置に反応しない場合は投与を中断してください。
    こちらの発熱、咳、呼吸困難に対するフローチャートもご参照ください。
  • 本剤投与中に結核の活動性が確認された場合は本剤の投与を中止してください。
  • 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部X線上結核治癒所見のある患者)の場合、胸部X線検査等を定期的に行うなど、症状の発現に十分注意してください。
  • 呼吸器専門医、感染症専門医、放射線専門医等と連携しながら治療を行ってください。
  • 高齢者、既存の肺疾患を有する患者、ステロイド治療を併用している患者など、重篤な感染症発症のリスク因子を有する場合にはご注意ください。
  • 呼吸器感染症予防のために、インフルエンザワクチンの接種を考慮してください。65歳以上の高齢者には肺炎球菌ワクチンの接種も考慮してください。
  • たとえ軽い風邪のような症状であっても、速やかに主治医、看護師、薬剤師に連絡するようご指導ください。

● 発現機序/背景

JAKに対する阻害作用によりIL-6などのサイトカインシグナル伝達が阻害されると考えられます。その結果、シグナル伝達経路の阻害により急性期反応が抑制されるため、感染症に対する免疫反応が抑制される可能性があります。

発現状況

  • 結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染などによる重篤な感染症は、国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された全体集団の3.6%(123/3411例)に、日本人の関節リウマチ患者では3.5%(18/510例)に発現しました。なお、本剤の投与期間の継続に伴って重篤な感染症の発現リスクが増加する傾向は認められませんでした。
  • 国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)における曝露量あたりの重篤な感染症の発現率は、本剤が投与された全体集団で2.9/100人年でした。また、3492例中2例の死亡例が報告されています

*データカットオフ日:2016年1月1日

参考1参考1

重篤な感染症の発現率及び95%信頼区間
(母集団ごとの比較)

図:重篤な感染症の発現率及び95%信頼区間(母集団ごとの比較)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 長期試験を含む臨床試験9試験の併合解析(JADA試験、JADB試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験、JADX試験、JADZ試験及びJADY試験)
  • プラセボ投与群と本剤4mg投与群がある二重盲検比較試験6試験(JADA試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験及びJADX試験)の併合解析(投与24週までのデータ)
  • プラセボ投与群と本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験4試験(JADA試験、JADN試験、JADW試験及びJADX試験)の併合解析(投与24週までのデータ)
  • 本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験4試験(JADA試験、JADN試験、JADW試験及びJADX試験)の24週以降の長期試験(JADY試験)を含む併合解析。ただし、JADA試験の24週以降で得られたデータ(JADY試験で得られたデータを含む)及びJADN試験の12週以降で得られたデータを除外した。
参考2参考2

投与期間ごとの重篤な感染症の発現率及び95%信頼区間
〔国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)〕

図:投与期間ごとの重篤な感染症の発現率及び95%信頼区間
										〔国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価※)〕

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 長期試験を含む臨床試験9試験の併合解析(JADA試験、JADB試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験、JADX試験、JADZ試験及びJADY試験)
参考3参考3

生物学的製剤、JAK阻害薬投与中における
発熱、咳、呼吸困難に対するフローチャート

図:生物学的製剤、トファシチニブ投与中における発熱、咳、呼吸困難に対するフローチャート

日本リウマチ学会:全例市販後調査のためのバリシチニブ使用ガイドライン(2017年8月20日版)
http://www.ryumachi-jp.com/info/guideline_barishichinibu.pdf(最終アクセス日:2017年9月12日)

帯状疱疹

● 対処方法/注意事項など

  • あらかじめ患者に帯状疱疹の説明を行い、皮膚に痛みを伴う発疹やしびれがあらわれたら、次の受診日を待たずに病院に連絡するようご指導ください。
  • 帯状疱疹の徴候や症状の発現が認められた場合には、本剤の投与を中断し、できるだけ早期に抗ウイルス薬の投与を開始してください。
  • 帯状疱疹の予防や症状軽減のために、ワクチンの活用もご検討ください。ただし、本剤投与中の生ワクチン接種は、感染症の発現リスクを否定できないため、行わないでください。
  • ヘルペスウイルスを含むウイルスの再活性化が報告されています。ヘルペスウイルスなどの再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。また、ヘルペスウイルス以外のウイルスの再活性化にも注意してください。
    こちらの重篤な感染症、こちらの肝機能障害も併せてご参照ください。

● 発現機序/背景

帯状疱疹は、感覚神経節に潜伏感染している水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が宿主の免疫機能の低下によって再活性化して生じます。

発現状況

  • 国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)における曝露量あたりの帯状疱疹の発現率は、本剤が投与された全体集団で3.3/100人年、日本人集団で6.5/100人年でした
  • 帯状疱疹は、国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)で本剤が投与された全体集団の4.9%(170/3492例)に、日本人集団では8.4%(43/514例)に発現しました。そのうち、複雑性の症例は3例(0.1%)、播種性の症例は12例(0.3%)で、内臓播種を伴う症例は認められませんでした

*データカットオフ日:2016年1月1日

参考1参考1

帯状疱疹の発現率及び95%信頼区間
(母集団ごとの比較)

図:帯状疱疹の発現率及び95%信頼区間(母集団ごとの比較)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 長期試験を含む臨床試験9試験の併合解析(JADA試験、JADB試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験、JADX試験、JADZ試験及びJADY試験)
  • プラセボ投与群と本剤4mg投与群がある二重盲検比較試験6試験(JADA試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験及びJADX試験)の併合解析(投与24週までのデータ)
  • プラセボ投与群と本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験4試験(JADA試験、JADN試験、JADW試験及びJADX試験)の併合解析(投与24週までのデータ)
  • 本剤2mg投与群及び4mg投与群がある二重盲検比較試験4試験(JADA試験、JADN試験、JADW試験及びJADX試験)の24週以降の長期試験(JADY試験)を含む併合解析。ただし、JADA試験の24週以降で得られたデータ(JADY試験で得られたデータを含む)及びJADN試験の12週以降で得られたデータを除外した。
参考2参考2

投与期間ごとの帯状疱疹の発現率及び95%信頼区間
〔国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)〕

図:投与期間ごとの帯状疱疹の発現率及び95%信頼区間〔国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価※)〕

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 長期試験を含む臨床試験9試験の併合解析(JADA試験、JADB試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験、JADX試験、JADZ試験及びJADY試験)

血液障害

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤の投与開始後は、定期的に血液検査を行ってください。
  • 好中球数、リンパ球数、ヘモグロビン値の減少が認められた場合は、以下の記載を参考に、患者の病態を考慮の上、適切にご対応ください。
    • 細菌や真菌感染のリスクが高まるため、感染を疑う症状(発熱、寒気、咽頭痛など)が出たらすぐに病院に連絡するよう、患者にご指導ください。
    • リンパ球減少自体は無症状である場合が多いため、検査値の推移にご留意ください。
    • 顔色が悪い、易疲労感、倦怠感、頭重感、動悸、息切れなど、貧血の初期症状が出たらすぐに病院に連絡するよう、患者にご指導ください。

● 発現機序/背景

血液増殖促進因子であるエリスロポエチン、G-CSF※1、GM-CSF※2、トロンボポエチンはJAK-STAT経路を介してシグナルを伝達します1)。これらのシグナル伝達経路の過剰抑制は、赤血球や白血球の産生能力を損なう可能性があります2、3)。本剤はJAK1及びJAK2活性を阻害し、STATのリン酸化及び活性化を抑制することにより、免疫及び造血に関与する各種サイトカインのシグナル伝達を阻害します。そのため、本剤投与により貧血が発現したり、好中球やリンパ球が一定レベル以上に低下した場合は感染症の発現リスクが上昇する可能性があります。

  • G-CSF:顆粒球コロニー刺激因子
  • GM-CSF:顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子
  • Levine, R. L. et al.:Nat. Rev. Cancer, 7(9), 673(2007)
  • O'Shea, J. J. et al.:Ann. Rheum. Dis., 72(Suppl 2), ii111(2013)
  • Borie, D.C. et al.:Transplantation, 80(12), 1756(2005)

● 好中球数、リンパ球数、ヘモグロビン値の変動と対処方法

図:好中球数、リンパ球数、ヘモグロビン値の変動と対処方法

測定値が回復した場合は投与を再開できますが、患者の状態をより慎重に観察し、十分注意してください。

発現状況

骨髄抑制に関連する可能性のある有害事象

骨髄抑制に関連する可能性のある有害事象は、国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された全体集団の6.6%(224/3411例)に発現しました。

● 骨髄抑制に関連する可能性のある有害事象の発現割合(併合解析)
〔国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)〕

図・骨髄抑制に関連する可能性のある有害事象の発現割合(併合解析)〔国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)〕
好中球数減少
  • 国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された症例のうち、好中球数減少のCTCAEグレードの悪化が認められた患者の割合は14.5%(477/3292例)でした。最大でグレード2への悪化を示した患者が4.4%(145/3292例)、3への悪化が0.6%(20/3292例)、4への悪化が0.1%(3/3292例)でした
参考参考

好中球数減少の判定基準(CTCAE version 3.0)

図・好中球数減少の判定基準(CTCAE version 3.0)

※有害事象共通用語規準(CTCAE)version 3.0
*データカットオフ日:2016年1月1日

参考参考

好中球数の推移
(先行試験JADA、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験において本剤4mg投与群に割り付けられた患者の好中球数(平均値)は、投与開始後1ヵ月間減少し、その後ベースライン値を下回ったまま、本剤の投与期間中は安定して推移しました。

図・好中球数の推移(先行試験JADA 、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 投与52週目までの5試験のプールデータ。JADY試験において用量変更(減量含む)又はレスキュー治療を行った時点で打ち切りとした。
リンパ球数減少
  • 国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された症例のうち、リンパ球数減少のCTCAEグレードの悪化が認められた患者の割合は31.2%(1066/3412例)でした。最大でグレード2への悪化を示した患者が10.0%(341/3412例)、3への悪化が2.1%(72/3412例)であり、最大でグレード4への悪化を示した患者はいませんでした
参考参考

リンパ球数減少の判定基準(CTCAE version 3.0)

図・リンパ球数減少の判定基準(CTCAE version 3.0)

※有害事象共通用語規準(CTCAE)version 3.0
*データカットオフ日:2016年1月1日

参考参考

リンパ球数の推移
(先行試験JADA、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験において本剤4mg投与群に割り付けられた患者のリンパ球数(平均値)は、投与開始後1ヵ月間上昇した後、ベースライン値に戻り、安定して推移しました。

図・リンパ球数の推移(先行試験JADA 、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 投与52週目までの5試験のプールデータ。JADY試験において用量変更(減量含む)又はレスキュー治療を行った時点で打ち切りとした。
貧血(ヘモグロビン減少)
  • 国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された症例のうち、ヘモグロビン減少のCTCAEグレードの悪化が認められた患者の割合は34.4%(1173/3413例)でした。最大でグレード2への悪化を示した患者が7.2%(246/3413例)、3への悪化が0.4%(15/3413例)、4への悪化が0.1%(3/3413例)でした
参考参考

貧血(ヘモグロビン減少)の判定基準(CTCAE version 3.0)

図・貧血(ヘモグロビン減少)の判定基準(CTCAE version 3.0)

※有害事象共通用語規準(CTCAE)version 3.0
*データカットオフ日:2016年1月1日

参考参考

ヘモグロビン値の推移
(先行試験JADA、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験において本剤4mg投与群に割り付けられた患者のヘモグロビン値(平均値)は、本剤投与開始後わずかに減少し、14週後に最も低値を示した後、ベースライン値に戻りました。

図・ヘモグロビン値の推移(先行試験JADA 、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 投与52週目までの5試験のプールデータ。JADY試験において用量変更(減量含む)又はレスキュー治療を行った時点で打ち切りとした。

肝機能障害

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤投与中は定期的にトランスアミナーゼ値を測定してください。トランスアミナーゼ値の上昇が認められ、薬物性肝障害が疑われる場合には、本剤の投与を中断してください。
  • B型肝炎ウイルスの再活性化が疑われる場合は、直ちに投与を中止せず、対応を肝臓専門医とご相談ください。
    こちらのB型肝炎対策ガイドラインも併せてご参照ください。
  • 症状は、全身症状(倦怠感、発熱、黄疸など)、消化器症状(食欲不振、吐き気、おう吐、腹痛など)、皮膚症状(発疹、じんましん、かゆみなど)等です。このような症状が出たらすぐに病院に連絡するよう、患者にご指導ください。

● 発現機序/背景

本剤による肝酵素上昇の作用機序は不明ですが、国内外の臨床試験で基準値上限の5~10倍以上のトランスアミナーゼ値の上昇を伴う肝機能障害が報告されています。

発現状況

  • 肝障害に関連する可能性のある有害事象が発現した患者の割合は、国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された全体集団の7.1%(241/3411例)でした。
  • 国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験)において本剤が投与された症例のうち、ALTが基準値上限の3倍以上に上昇した症例は3407例中98例(2.9%)で、その約40%はベースライン時点でALTが異常値を示していました。基準値上限の3倍以上のALT上昇が継続した症例は98例中52例でした。
  • また、ALTが基準値上限の5倍以上に上昇した症例は3407例中29例であり、その約半数はベースライン時点でALTが異常値を示していました。基準値上限の5倍以上のALT上昇が継続した症例は29例中7例でした。

間質性肺炎

● 対処方法/注意事項など

  • 発熱、咳(特に乾性咳、空咳)、呼吸困難などの呼吸器症状に十分に注意してください。このような症状が出たらすぐに病院に連絡するよう、患者にご指導ください。
    こちらの発熱、咳、呼吸困難に対するフローチャートもご参照ください。
  • 異常が認められた場合には、速やかに胸部X線検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止してください。また、ニューモシスティス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)も考慮に入れ、適切な処置を行ってください。
  • 間質性肺炎の治療は、呼吸器専門医、放射線専門医、感染症専門医等と連携しながら行ってください。
  • 間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診・検査等を行うなど、注意してください。

● 発現機序/背景

間質性肺炎は、関節リウマチ患者ではしばしばみられる事象であり、リウマチ治療薬投与後の間質性肺炎の発現が報告されています。しかし実際には、間質性肺炎の既往のある患者において「薬剤性間質性肺炎」と「既存の間質性肺炎の増悪」を鑑別することは困難であり、診断が遅れる場合が多いことが問題となっています4)

4)日本呼吸器学会 生物学的製剤と呼吸器疾患・診療の手引き作成委員会 編:生物学的製剤と呼吸器疾患 診療の手引き
http://fa.jrs.or.jp/guidelines/guidance_respiratory-disease.pdf(2017年8月25日現在)

発現状況

間質性肺疾患及び肺線維症は、国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験)で本剤を投与された全体集団3492例中10例及び3例で発現が認められました。曝露量あたりの発現率は、それぞれ0.19/100人年、0.06/100人年でした

*データカットオフ日:2016年1月1日

消化管穿孔

● 対処方法/注意事項など

  • 急に出現する持続性の腹痛、激しい腹痛、下血等の消化管穿孔が疑われる症状があらわれた場合は、すぐに病院に連絡するよう、患者にご指導ください。
  • 腸管憩室のある患者では、憩室炎の悪化に伴って消化管穿孔が発生する可能性があります。腸管憩室のある患者に本剤を投与する場合は、症状に注意しながら慎重に行ってください。
  • グルココルチコイド及び非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を使用している患者に本剤を投与する場合も、十分に注意しながら投与してください。
  • 異常が認められた場合は投与を中止し、腹部X線検査、腹部CT検査等を実施し、速やかに適切な処置を行ってください。

● 発現機序/背景

消化管穿孔は、まれではあるものの、関節リウマチ患者で観察される重篤な有害事象の1つで5、6)、リウマチ治療薬のあらゆる併用で発現が認められています。リスク因子として、グルココルチコイド又はNSAIDの使用、憩室炎の合併、加齢及び重度の併存疾患が知られています。

5)Curtis, J. R. et al.:Arthritis. Rheum., 63(2), 346(2011)
6)Závada, J. et al.:Ann. Rheum. Dis., 73(1), 252(2014)

発現状況

  • 消化管穿孔は、国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)で本剤が投与された全体集団3492例中2例に発現しました。曝露量あたりの発現率は0.04/100人年でした
  • 消化管穿孔の発現が報告された2例は、いずれも消化管穿孔のリスク因子(グルココルチコイド及びNSAIDの併用)を有していました。

*データカットオフ日:2016年1月1日

悪性腫瘍

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤との因果関係は明らかではありませんが、悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されていますので、患者に十分説明した上で本剤を投与してください。

● 発現機序/背景

関節リウマチは慢性炎症性疾患の1つであり、癌のリスクを増加させる可能性があります7~9)。また、免疫抑制剤の使用は、その免疫系への作用から悪性腫瘍の発現のリスクファクターとなり得ることが仮説として示されています10、11)

7)Grivennikov, S. I. et al.:Cell, 140(6), 883(2010)
8)Sansone, P. et al.:Curr. Opin. Genet. Dev., 21(1), 80(2011)
9)Franks, A. L. et al.:Anticancer Res., 32(4), 1119(2012)
10)Mercer, L. K. et al.:Ann. Rheum. Dis., 74(6), 1087(2015)
11)Michaud, T. L. et al.:Am. J. Med., 127(12), 1208(2014)

発現状況

  • 国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)において、本剤を投与された全体集団における悪性腫瘍の発現割合は1.1%(38/3492例)、曝露量あたりの発現率は0.73/100人年でした

*データカットオフ日:2016年1月1日

参考参考

投与期間ごとの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率及び95%信頼区間
〔国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)〕

投与期間ごとの悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌を除く)の発現率及び95%信頼区間
〔国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価※)〕

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 長期試験を含む臨床試験9試験の併合解析(JADA試験、JADB試験、JADC試験、JADN試験、JADV試験、JADW試験、JADX試験、JADZ試験及びJADY試験)

脂質代謝異常

● 対処方法/注意事項など

  • 脂質異常症自体は無症状であるため、本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認してください。
  • 必要に応じて、日本動脈硬化学会動脈硬化性疾患予防ガイドラインなどに則り、脂質異常症治療薬を投与してください。

● 発現機序/背景

関節リウマチ患者の総コレステロール、HDLコレステロール及びLDLコレステロールは、関節リウマチではない集団と比べて通常は低い傾向にありますが、心血管疾患のリスクが高いことが報告されています12)。疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)や生物学的製剤、JAK阻害剤によって関節リウマチの炎症を抑制することで、脂質分画を上昇させると考えられます13)

12)Myasoedova, E. et al.:Ann. Rheum. Dis., 70(3), 482(2011)
13)McGrath, C. M. and Young, S. P.:Curr. Rheumatol. Rep., 17(9), 57(2015)

発現状況

脂質異常症に関連する有害事象は、国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された全体集団の10.8%(370/3411例)に発現しました。

参考参考

LDLコレステロール値の推移
(先行試験JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

第Ⅲ相試験において本剤4mg投与群に割り付けられた患者のLDLコレステロール値(平均値)は、本剤投与開始12週間以内に増加し、その後安定して推移しました。

図・LDLコレステロール値の推移(先行試験JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 投与52週目までの4試験のプールデータ。JADY試験において用量変更(減量含む)又はレスキュー治療を行った時点で打ち切りとした。

心血管系事象

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤との因果関係は明らかではありませんが、心筋梗塞、脳卒中等の心血管系事象の発現が報告されていますので、患者に十分説明した上で本剤を投与してください。
  • 本剤投与により、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール及びトリグリセリドの上昇等の脂質検査値異常があらわれるおそれがあります。脂質異常症を有する患者では、心血管系事象の発現に十分に注意してください。
    ⇒脂質代謝異常については こちらをご参照ください。

● 発現機序/背景

関節リウマチ患者において、心血管リスクの増加が報告されています14)。その特徴として、炎症によって引き起こされるアテローム性動脈硬化の加速が挙げられます15)

14)Kume, K. et al.:Ann. Rheum. Dis., 73(Suppl2), 961, abstr AB0463(2014)
15)Sen, D. et al.:Rheum. Dis. Clin. North Am., 40(1), 27(2014)

発現状況

  • 主要な心血管系事象(心血管死、心筋梗塞、脳卒中)は、国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)で本剤が投与された全体集団3492例中25例で認められました。曝露量あたりの発現率は0.55/100人年でした
  • 本剤の国内外臨床試験における主要な心血管系事象の発現率は、観察研究で報告されている関節リウマチ患者での発現率(1.42/100人年)16)を上回ることはありませんでした。

*データカットオフ日:2016年1月1日

16)Liao, K. P. et al.:Arthritis Rheumatol., 67(8), 2004(2015)

CPK増加

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤との因果関係は明らかではありませんが、クレアチンホスホキナーゼ(CPK)高値及びミオパチーの発現が報告されています。
  • 本剤投与開始後は、定期的に検査値を確認してください。

● 発現機序/背景

本剤の開発初期の臨床試験において、CPK平均値の増加と数例の被験者におけるCPK高値が報告されました。類薬においても同様の報告が認められています17)

17)Wollenhaupt, J. et al.:J. Rheumatol., 41(5), 837(2014)

発現状況

CPK増加

CTCAEグレードの悪化が国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された症例の43.2%(1396/3234例)に認められました。その大半(34.9%、1128/3234例)がグレード0から1以上への悪化でした。

参考参考

CPK増加の判定基準(CTCAE version 3.0)

図・CPK増加の判定基準(CTCAE version 3.0)

※有害事象共通用語規準(CTCAE)version 3.0

有害事象
  • 国内外臨床試験(第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験)において本剤が投与された全体集団の3.2%(110/3411例)に筋攣縮、筋肉痛などの筋肉症状が認められました。重篤な有害事象及び投与中断に至った有害事象が各2例(0.1%)、投与中止に至った有害事象が1例に認められました。
  • 国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験)で本剤が投与された全体集団3492例中5例でミオパチーが認められました。曝露量あたりの発現率は0.1/100人年でした。なお、本剤の臨床試験で横紋筋融解症と確定された事象はありませんでした

*データカットオフ日:2016年1月1日

参考参考

CPK値の推移(先行試験JADA、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

第Ⅱ相及び第Ⅲ相試験において本剤4mg投与群に割り付けられた患者のCPK値(中央値)は、本剤投与開始後まもなく増加し、その後安定して推移しました。

図:CPK値の推移(先行試験JADA、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 投与52週目までの5試験のプールデータ。JADY試験において用量変更(減量含む)又はレスキュー治療を行った時点で打ち切りとした。

静脈血栓塞栓症

● 対処方法/注意事項など

  • 本剤との因果関係は明らかではありませんが、深部静脈血栓症、肺塞栓症等の静脈血栓塞栓症の発現が報告されています。
  • 臨床試験において静脈血栓塞栓症を発現した患者は、肥満、手術歴、可動性低下等の静脈血栓塞栓症のリスク因子を有していました。これらのリスク因子を有する患者に本剤を投与する場合は、観察を十分に行い、慎重に投与してください。
  • 異常が認められた場合には直ちに本剤の投与を中止し、適切な処置を行ってください。

● 発現機序/背景

関節リウマチなどの慢性炎症性疾患を有する患者では、血液凝固能が亢進した状態にあり、静脈血栓塞栓症のリスクが高まると考えられています18)

発現状況

  • 深部静脈血栓症/肺塞栓症は、国内外臨床試験(第Ⅰ相~第Ⅲ相試験、追跡調査期間を加えた評価)で本剤が投与された全体集団3492例中28例で認められ、1例の死亡例が報告されました。曝露量あたりの発現率は0.53/100人年でした
  • 本剤の国内外臨床試験における深部静脈血栓症/肺塞栓症の発現率は、過去に報告されている関節リウマチ患者での発現率(0.59/100人年、0.61/100人年)18、19)を上回ることはありませんでした。
  • 静脈血栓塞栓症との因果関係は明らかではありませんが、本剤投与開始後に血小板数の増加が報告されています。

*データカットオフ日:2016年1月1日

18)Holmqvist, M. E. et al.:JAMA, 308(13), 1350(2012)
19)Kim, S.C. et al.:Arthritis Care Res.( Hoboken), 65(10), 1600(2013)

参考参考

血小板数の推移(先行試験JADA、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

図:血小板数の推移(先行試験JADA 、JADV、JADW、JADX試験及びJADY試験)

データカットオフ日:2016年1月1日

  • 投与52週目までの5試験のプールデータ。JADY試験において用量変更(減量含む)又はレスキュー治療を行った時点で打ち切りとした。